世界恐慌の煽りを受けて、COPPERKINGは、FOUNDERである
ノイシュタッターブラザーズから、 キャントバステムで有名な
エロッサーハイマン社に所有されることになりました。
どちらも、あのリーバイスと同じサンフランシスコのメーカー
であったために、ノイシュタッターブラザーズの主力ブランド、
BOSS OF THE ROADは継続して展開されたものの、
COPPERKINGの1930年代の顕著な動きは記録されていません。
ジーンズが第二次世界大戦の影響で、バックルバック(尾錠)や
サスペンダーボタンなどが省略され、現代の5ポケットデニムへと
簡素化されたのは有名ですが、COPPERKINGも、まさに
その時代に、復活を遂げています。いや、「本格始動した。」と言ったほうが適切でしょう。
画像のように、かざりステッチは入らず、コインポケットにもリベットはありません。
デニムは左綾、ヨークの巻きも上巻の左巻です。バックポケットのカンドメも、まだ一本なのがわかります。
ネームもうっすらと、CAN'T BUST'EM と COPPERKINGの文字が見られます。
この時代には、エロッサーハイマン社は、COPPERKINGを、
BOSS OF THE ROADではなく、CAN'T BUST'EMの
傘下のカウボーイに向けたレーベルとして、位置付けをしたのです。

CAN'T
BUST'EMのワークウェアレーベル
★FRISKO JEENS→ Eloesser-Heynemann Coが1925年から所有していた
ワークパンツのレーベル
★JUMPERALLS→LeeのUNIONALLに向けたオールインワンのレーベル
★BLUE
BIB OVERALLS→デニムのビブオーバーオール、農夫に向けたもの。
★LOGGERS
PANTS→ロガーに向けて作られるダックやデニムのワークパンツ。
★PAINTERS
OVERALLS→ペインターに向けたオーバーオール。
★CARPENTERS
OVERALLS→大工に向けて作られたオーバーオール
★COPPERKING→カウボーイや街着として、リーバイス501やLee
のカウボーイパンツにあてたもの。
1940年4月の新聞広告では「Waist length overalls」 と呼ばれている
ことから、5ポケットをこう呼んでいたと推測できます。
右は1939年2月17日のワシントン州でシアトルに次ぐ大きな街スポケーンの新聞に出た広告です。
カッパーキングは、「Copper king Champion waist overall」とあります。
30年代の終わりに、カッパーキングはもう再始動していたのです。
そして、1940年代の後半、第二次世界大戦後に製造されたと思われるものがこちらです。

デニムは左綾、トップボタン、小ボタンはCAN'T BUST'EMのものが使われています。
ポケットの流し込みタグはついていないものの、バックポケットのカンドメは二本になり、
さらに「X」のステッチが直線で入っています。
そして品番と思われる、印字には99という文字が・・・
CAN'T BUST'EMはご存知のとおり、「77」や「88」の品番で
ワークパンツを製造していたので、呼びやすいゾロ目の番号として、
「99」とナンバリングしたのでしょう。ちなみにZIPPERモデルは「99Z」と表記されています。
こうして、Copper king Champion waist
overall "99"は、さらに独自のマーケットを開拓することになります。